永遠の愛
「もしかして一条くん、知ってるの?」
「知ってる」
まさかのまさかだった。
一条くんが知ってるなんて思いもしなかった。
「そう…なんだ」
「…ショック…だった?」
「ショックって言うか…何て言うか…何も思わない。一条くんは?」
「うん?俺?」
「うん」
「俺も何にも。何にもだからこうやって里桜香と話し出きんの」
「そっか…」
「アイツに聞いたら何も言わなかったけどさ、美咲ちゃんの事だけ心配してたから」
そう言った一条くんはクッと口角を上げた。
「…心配?」
「そうそう。何か訳わかんねー事言ってた」
「……」
「言いすぎたとか、あたしから離れちゃうんじゃないか…とか。アイツ主語話さねーから分かんねーんだよ。だからきっとそう言う事っしょ?」
首を傾げた一条くんは少し顔を顰めてタバコを咥えた。
…何も思わないと言った一条くん。
なんだかあの頃の諒ちゃんと物凄く被って仕方がなかった。
端正な顔して言う事は諒ちゃん並み。モテんのも無理ないか。
「…あたしは天野さんに、無理に何かを言おうなんてしてないし嫌いとか、そー言うんでもない。むしろ好きだよ」
過去の自分がそうだった。
あの頃は誰にも邪魔されたくなくて、誰にも入ってきてほしくなかった。
でも、天野さんは違ったんだ。
心のいい一人の女の子。