永遠の愛
ママがこの世を去ってから3週間は過ぎた。
まだ全然、実感が湧いてこないけど、色んな手続きをしていく内に、変な実感が少しづつ芽生えて来てた。
「…あの家、売ろうと思うの」
また学校に行っていつも道りに戻る生活。
帰宅してお風呂に入った後、ベッドに寝転んでいる翔の隣に身を寄せ、そっと口を開いた。
「え?…何で!?」
もちろん少し驚いたのか翔のトーンは上がる。
「帰らない家は必要ないよ。って言うか…ローンまだあるの。調べたらさ、まだ14年くらい残ってんの。居ないのなら払う必要ないし」
「……」
「で、今、売っても多分マイナスにならないじゃん?ならいいかなって…」
「うーん…」
そう言ったあたしに翔はシックリとこない呟きで声を捻る。
「ママが残してくれたお金で、後数カ月は払えるんだけど勿体なくて…」
「勿体ねぇよなぁ…」
「でしょ?居ないのにお金払うって勿体ないでしょ?」
「え?そーじゃなくて、俺はあの家を売るって事に勿体ねぇって言ってんの」
「え、そーなの?そっちなの?」
「あぁ」
「何で?」
「お母さんがずっと住んでた家を売るのは勿体ねぇよ」
「けど住まないのに払うんだよ?そっちのほうが勿体ないじゃん」
「あとどれくらい?」
「多分一千万と少し」
「ふーん…。ま、その話は今度しよ。俺も考えっから」
考えるって何どう考えるの?
首を傾げたあたしは隣で眠りにつく翔をジッと見つめてた。