永遠の愛
「どう?日本の生活。慣れた?」
「それ、なんか変な質問。今まで日本に居なかったみたいじゃん」
「けど、長年居なかったのには変わりないじゃん」
「そうだけどね…」
「でしょ?」
そう言った葵は微笑みながらあたしを見た。
あの頃の葵は、守ってあげたいって…あたしでもそう思う様な存在だった。
でも今はそんな雰囲気すらまったくなくて、たった一人のママの顔。
凄いな、時を刻むって…
「あたしさ、」
一生懸命スコップで砂をすくってる香恋ちゃんに目を向けながらポツリと呟いた。
「うん?何?」
「ホント言うとさ、日本に帰って来る事が少し怖かったんだよね」
「えっ、何で?」
葵は驚いた表情であたしを見つめる。
「なんて言うかな…。5年も開いちゃうと当たり前に何もかも変わっててさ、周りを見るのが怖かったの」
「……」
「もうママは居ないけどさ、帰るまでに居なくなってたらどうしようとかさ」
「……」
「でもママはあたしを待っていてくれたから。…ママが居なくなった事に、誰も責める人なんて居ないんだ」
「ごめんね、美咲」
そう言った葵は表情を曇らせ視線を落とす。