永遠の愛
「だから葵が悪いわけじゃないって。むしろ、みんなにはありがとって、感謝してるから」
「うん…」
「それに…5年も居なかったらさ、翔の存在もないんだろーなって思ってたの」
「何で?」
「5年って長かったよ、ほんとに。あたしが決めた事だったけどさ、もう近くに居ないだろーなって思ってた。…ほら、ホストだったじゃん?…だから」
そう言って苦笑い気味で悲しく笑った。
「芹沢さんは…美咲の事、気に掛けてたよ。んー…仕事上の事はよく分かんないけど、香恋とも遊んでくれたし、美咲のママにだって会いに行ってくれてた」
「……」
「美咲の事どーでもよかったら、そんな事しないでしょ」
「そーかな…」
「そーかなって、そうでしょ!」
強気に言ってきた葵が昔の葵とは別人だった。
ママになった証…かな。
「…いっぱい」
不意に聞こえた可愛らしい声に視線を向けると、そこにはバケツ一杯に砂を入れた香恋ちゃんが居た。
「うわぁー…って言うか香恋、服汚れまくり」
葵は顔を顰めながら香恋ちゃんのスカートをパンパンと叩く。
「やっぱ葵って厳しいね。優しいママかと思ったのに」
「優しいのは優しいよ。でも諒也が甘やかすから」
「何か思ってたのと逆。でも、それで成り立ってんだね」
「そうかも」
そう言った葵とあたしはクスクスと笑った。