永遠の愛
「…みぃちゃん」
「えっ、さっき何て言った?」
笑っていると不意に聞こえたその言葉に、あたしは大声を上げる。
「あ、そうそう。最近、美咲の事、みぃちゃんって呼んでるの」
微笑んだ葵はそう言ってあたしを見る。
「えっ!そうなの?」
「うん。美咲が買ってくれた本を見るとね、“みぃちゃん”って言うんだよ」
「うそー!なんか嬉しいかも。また何か買ってあげる」
笑みを漏らしたあたしは勢いよく香恋ちゃんに飛びついてギュ―っと抱きしめた。
その抱きしめられた事に嬉しいのか、香恋ちゃんはキャッキャッ笑う。
「良かったねー香恋。みんな優しいね」
そっと微笑んだ葵は香恋のちゃんの頭を数回撫でる。
そんな香恋ちゃんの笑顔が無償に可愛くて、あたしの心も和らぐ。
「ねぇ、香恋ちゃんの名前の由来って何?葵が決めたんでしょ?」
香恋ちゃんの身体をそっと離し、葵に視線を向けると葵は恥ずかしそうに微笑んだ。
「香りある恋をしてほしいって思ってね」
「へー…なんかロマンチック」
「諒也はダメって言ってたんだけどねー…。恋愛禁止!門限5時…だって」
そう言った葵は苦笑いをする。
「よく言うよ!散々遊びまくってた奴の言う事じゃないでしょ!親馬鹿じゃん」
「そうかも」
「あー…、葵もう家帰ってんの?この前、諒ちゃんと会った時、実家に居るって言ってたから」
「うん、5日前から帰ってるよ。やっぱ、洗濯とか気になるし」
「へー…主婦してんじゃん」
そう言って、あたしは葵にニコっと微笑んだ。