永遠の愛

「あー…それよか天野さん、まだ風邪治んないの?」


ここ数日休んでる天野さん。

理由は風邪って聞いてる。


それがほんとかどうかなんて分かんないけど、気になるあたしは目の前にいる一条くんに話を振った。


「風邪って、里桜香が風邪引く訳ねぇじゃん」

「だって、そう聞いてるから」

「バイトしてんだろ。残ってって言われたらアイツすぐに残るから」

「バイト…」

「気になるんだったら電話したら?アイツも美咲ちゃんの事、気にしてたから」


あの日、天野さんから打ち明けられた過去と同じあたしの行き場。

あの時からまともに話してなくて、それこそ自分の事でいっぱいだったから何も聞いてあげられなくて、何も言えないままでいる。


「あー…けど…」

「けど…って、美咲ちゃん担任じゃん」

「そー言う時だけ担任って言わないでよ」

「でも、そーじゃん」

「そーだけど…。気持ちが思う様に進まなくて…」

「別にそのまんまでいいんじゃね?里桜香も美咲ちゃんと話したいって思ってるはず。それに最近元気ねぇから何かあったんだと思う」


そう言った一条くんは表情を崩す。


「何かって?」

「何も言ってこねぇから分かんねぇけど…。ほら、俺…アイツと付き合い長いからよくそー言うの分かんの」


そう言った一条くんはクッと口角をあげて悲しそうに微笑んだ。

< 222 / 625 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop