永遠の愛
「多分、あの頃は周りなんて見えてなかった。けど、あの頃と比べて何が変わった?って言っても同じなの。なのに、あの頃より頑張ろうって思えないのはなんでだろう…」
ママが居なくなったからもっと頑張って働かなくちゃいけないって思うのに、あの頃よりもそー言う感じ方がなにもかも薄い。
「それは大人になったって事」
「…大人?」
「ガキん時ってさ、何かを目標に一直線になんのが当たり前。まぁ、大人もそーなんだけど、それを強く思うのが学生の時」
「……」
「親に心配かけないようにと一生懸命頑張ったりさ、親に認めてもらおうとして頑張るとかさ。でも、その逆で親に対抗心もって悪い事する時もさ、なんでもあの頃は自分中心」
「……」
「自分がしてる事が正しいって次第に思うもん。いい事も悪い事も自分が正しいって思えてくんの」
「……」
「不思議だよな」
そう言った翔は思い出したかのようにフッと鼻で笑う。
「あたしはまだ、自分が大人になったって言う自覚ないよ」
「そうかな?年齢を重ねる内に落ち着くって言うじゃん。美咲はそれ」
「だったら翔も?」
「んー…10代の時に比べたらそうなの…かな。あん時はまさしく自分中心だったからな。美咲はこの5年で変わったと思うよ。向こうに行って、何かいい物を学んだんじゃねぇの?」
「んー…どうだろ。でも言葉に表せないくらい自分に得るものは沢山あったよ。でもね、帰って来たらやっぱ心寂しいの」
「……」
「正直言ってさ、人の事より自分の事って思っちゃうの。教師だから生徒の事を把握しなきゃって言う部分もあるけど、やっぱ色々あり過ぎて帰って来た自分についていけない」
正直、苦しかった。
帰って来た色んな衝撃。
大事な大切なお腹の小さな命が亡くなったり、ママの大切な命。
そして考えてもいなかった父との再会。
正直、何もかもが分かんなかった。