永遠の愛
「これって…」
記憶にない一枚の写真。
あたしの記憶に何もない一枚の写真。
この美術館のこの場所。
まさに今、あたしがこの位置で撮られているこの写真。
小さい。小さいあたしの隣には若いママが映っていて、その隣には父の存在。
以前見たあの顔をものすごく若くした父の存在が映っていた。
「…何で?」
写真と一緒に入っていた一枚の便箋を開けて目を通した――…
※美咲ちゃんへ
お元気ですか?
この手紙を受け取る頃は、もうどれくらいの月日が流れている事かわかりませんが美咲ちゃんの手に渡って嬉しく思います。
念願の留学旅立てて良かったですね。
美咲ちゃんのお母さんがここに来てそう嬉しく話してくれました。
そしてその時にお母さんが落とされた写真です。
多分、大切な写真なんだろうと思います。
返す手段がなく、この様な形をとらせて頂きました。
きっと美咲ちゃんならここに来てくれるってそう信じてました。
手に渡って嬉しいです。
では、お元気で。
岩崎。
20--.5.17-
※
一年半以上も前の手紙。
ママは…いったいいつここに訪れたんだろう。