永遠の愛
「俺にしなよ」
続けられて言われた言葉。
返す言葉もなくて、もっと近づいてくる顔。
もう触れそう。
だけど顔を背けなかったあたし。
何でかそんなの分かんない。
別にどうでも良かったのかもしんない。って、そう思った瞬間だった。
フッと笑った一条くんの顔がスッと離れて行く。
灰皿に置いていた吸い掛けのタバコは短くなってて、それに一条くんは手を伸ばす。
「嘘。冗談」
「……」
そう言った一条くんは短くなったタバコを口に咥えた。
「そんなんじゃ、他の男に引っ掛かるよ」
クスクス笑った一条くんは短くなってるタバコを灰皿に押し潰す。
「…ごめん」
「謝られても…」
「うん…」
「んー…とりあえず美咲ちゃんはここに居なよ」
「え?」
「俺、出掛けるから」
「出掛ける?」
「うん。俺が居たら居ずらいでしょ?」
「あ、ごめん。やっぱ、あたし…」
「いいから、いいから」
クッと口角を上げた一条くんはキーケースを取り玄関に向かう。
「ごめん、一条くん!」
その背中に向かって叫ぶあたしの声に一条くんは振り返って微笑んだ。