永遠の愛
「ねぇ!!」
少し上げた声に反応した一条くんは足を止めて振り返る。
「何?」
「ごめんね。来てくれてありがとう」
「別に。あのさー…」
「うん?」
「俺には何があったか知んねぇけどさ、失って気付く大切さってあると思うから」
“じゃ、また学校で”
付け加えてそう言った一条くんはあたしに背を向けて歩き出し、軽く右手を上げた。
その一条くんの背中が消えるまで見てたあたしは、空を仰いで一息吐いた。
ほんと今の自分が分かんない。
翔と一条くんの差なんてほぼ10コも違うのに、その真ん中に居るあたしって…
いったい何してんだろって思う。
そして一条くんが言った“失ってから気付く大切さ”ってものが頭から離れずにいた。
分ってんだ。
自分ではよく分かってんだ。
翔を失ってしまったら、もうあたしじゃなくなるって事を。
でも、何故か知んないけど翔にとってあたしはお荷物だと思えてしまう。
だけど、さよならするにはまだ理由が足りないんだ。
やっぱ、幸せになるってどうゆう事なんだろう。
5年前もそう考えた事あったけど、
まだ今もその理由が分かんない。
…誰か、教えて。