永遠の愛

再会の喜び


-日曜日帰るから-


そう、ママだけに連絡を入れたあたしは予定道り5年振りに日本に足を踏み入れた。


8月初旬。



季節は冬のオーストラリアと違って真逆の夏の暑さに空気が重い。


羽織ってたジャケットを脱ぎ、空港の出入り口から見える朝の日差しがギラギラに輝いている。

その眩しさを遮ろうと、あたしは胸元に掛けていたサングラスを身に付けた。


スッと視界が薄茶色に染まる。

溢れ返った人混みの中、あたしは真っ赤なスーツケースを引っ張り外に出た。


ジリジリと今にも焼けそうな肌。

肌から滲みでる汗にうんざりする。

たったさっきまで冬の世界にいたはずだからなのか、この日差しはカナリ肌にキツク思える。


「どうしよっか…」


電車か、バスか。

一息吐き、暫くの間どっちにしようか悩んでいた時だった。


「ねぇ、ちょっとアンタ」


背後から飛んで来た男の声にあたしは振り返りもせずにとりあえず足を進める。


でも、だけど。

近づいてくる足音に見向きもせずに進むあたしに、


「あー…、無視ってやつか。可愛くねぇ」


一瞬、空耳かと思った。


だけど聞きなれた声とフッと鼻で笑った笑い声に思わずピタっとあたしの足は止まった。


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