永遠の愛

「諒ちゃんと仲直りしてね」

「あー…」


視線を落としたまま葵は小さく呟く。


「何、その返事」


そう言ってあたしはフッと笑う。


「うん、その内ね」

「早く仲直りしないと香恋ちゃん可哀相だよ?」

「うん、分ってる。諒也はね、普通に接してくれるの。ただ、あたしが一方的に怒ってるだけ」

「そっか…」


そう言った葵の言葉。

考えてみれば、あたしも同じ。


あたし一人がただ思い悩んで苛々してるだけ。

翔はあたしの答えを待ってる。


だけど、全然あたしは進まない。


ダメだ、苛々してる証拠。


「あっ、美咲のママに線香あげなきゃね。全然来てなかったから美咲のママ怒ってるかな」


苦笑い気味でそう言った葵は立ち上がり、足を進める。

そして線香を手にした葵はマッチで火を点け、あたしはその光景から視線を外し残りのバームクーヘンを頬張った。


自分でも分かってんだ。

翔を越える人なんて居ないって事を。


さんざん助けてもらって、散々振りまわしてしてるのに。

なのに、こんなにもあっさりと距離を置いてしまった。


考える言葉は矛盾ばかりで上手く整理が出来ない。


翔が言った通り、こんな簡単に決めちゃったら今までなんだったのか分かんないな、ホント…


“辛かったら頼れ”って言った翔。

辛いけど、当たり前のように頼れないの、翔には…



…ごめん、あたしって最低。



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