永遠の愛
「今、中央警察署で彼女を引き取っているのですが、お迎えに来て頂けますでしようか?」
「…えっと、何があったんですか?」
「その事に関しては、こちらに来られた時にお話をいたしますので」
「はい。あの、何処に向かえば…」
「繁華街にある中央警察署です」
「分りました。すぐに行きます」
携帯を切った後、無雑作に鞄の中に突っ込み、あたしは慌てて鞄を掴んだ。
「どした?…おい、美咲!」
諒ちゃんの声で今から玄関に向かおうとする足が止まる。
「ごめん、ちょっと…」
「ちょっとって、何?」
「行かなくちゃいけないから」
そう言って再び動かそうとしていた足がピタっと止まる。
リビングに備え付けてある時計に目を移すと、もうすでに夜中の1時を回っていた。
…電車は、ない。
だからと言ってタクシーを呼ぶ時間、待つ時間が一分一秒ですらも、勿体なくて思わず立ちあがっている諒ちゃんを見てしまった。
「…おい、美咲?」
「ごめん諒ちゃん。車だしてほしい」
「車?」
「中央警察署まで」
「中央警察署って、繁華街にある警察署か?」
「そう」
さすが諒ちゃんって思ってしまった。
あたしなんか中央警察署なんて言われて繁華街って思い付きもしないのに、昔荒れてた諒ちゃんはすぐに分ったらしい。