永遠の愛
「それより先生になるんだって?」
そう言った翔はあたしに視線を向け、口角を上げた。
「あー…うん。似合ってないよねー…」
「まぁ、昔の美咲からするとな」
翔は苦笑いをしながらポケットからタバコを取り出し1本咥える。
カチッとライターの音が微かに響くと、少し辺りが明るくなった。
「でも、なんか…学んだ事を活躍しないとなーって思って。通訳とかそっち系も考えたんだけど、教える方が好きって思ったの」
「そっか。じゃねーと、勿体ねーしな」
「うん」
「いつから?」
「9月からだけど来週には行って色々覚えなきゃ」
「頑張れよ」
「うん。…ありがと」
「え?定時って事は夜いねーの?」
フーッと一息吐いた翔は思い出したかのようにあたしを見つめる。
「そうだね。帰って来るのは23時か24時?あ、でも土曜は昼間行ったりで日曜は休みだし」
「あーそっか…」
「え?どうしたの?」
「なんか昔の俺と逆だなーって思って」
「あぁ、そっか。翔はいつも何時に終わってる?」
「俺は色々。早い時もあればすげぇ遅い時もあるし20時には絶対帰ってる」
「そっか…。翔さ、身体慣れてないんじゃない?逆になったし」
「うん?でもたまにやってたからそうでもねーよ」
そう言った翔に何かシックリきてない自分が居た。
絶頂期だった翔。いつも綺麗にスーツを着こなして腕時計だっていくらするのか分かんない時計をして綺麗に自分を着飾ってた。
それがいっきになくなると、変わった私生活にどう思ってんのだろう。
辞めた理由があたしであれば…