永遠の愛

「ここ、ここ」


そう言って菜緒が指差す場所を見つめる。


「…日本語講師?」

「そう。日本語講師」

「それが何?」

「美咲ちゃんさ、やる気ない?」

「あたしが?」


菜緒に目を向けると、菜緒はコクンと頷いた。


「誰か探してたの。新しく出来た学校なんだけどさ、人出が足りないの。結構あたしも色々と探したんだけどさ、なかなかいなくてね」

「で、あたし?」

「うん。丁度、日本に帰る機会があったからどうかなって思って。あ、そりゃさ、彼の事も知ってたし無理な事を承知の上で来たの」

「もう、彼は関係ないからね」

「ごめん、なんかややこしい時に来ちゃって…」

「別にややこしくないよ。いつ来ても一緒」

「で、美咲ちゃんはどう思う?日本語講師。美咲ちゃんは留学生だったから、もう設備も全部整ってるの。もちろん住む所もあるし、それにあっちだと英語も日本語も使えるし」


パンフレットを見る限り去年の夏に出来たばかりの学校。

丁度あたしが日本に帰って来た時だ。


そう言えば確か、そんな話も出てたような気がする。


「…って、これってあっちに住むって事だよね」

「もちろん。あ、無理にとは言ってないよ。あたしもダメもとで来たから話してただけだから」

「うーん…今は何とも言えないけど」

「そうだよね…」

「でも、考えてみようかな。日本に居てもつまんないし…」

「…って、それは何とも言えないけどね」


そう言った菜緒は苦笑いをして口に水を含んだ。

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