永遠の愛

ゆっくり振り返った先に見えるのは懐かしい顔。

だから、思わず目を見開いてしまった。


なんで?どうして?何でなの?って言葉が次々と頭ん中で繰り返す。

見つめる先に居るのは5年振りに会う翔の姿。


「おかえり、美咲」


そう口角を上げて微笑んでいる翔が幻かと思ってしまった。

だって…だって。

帰るってママにしか言ってないんだもん。


掛けているサングラスをゆっくりと外すと、丁度いいくらいの小麦色に焼けた翔が目に飛び込む。

あの頃と、変わってない。

ううん、いや。やっぱし大人っぽくなってる。


セットされた髪はあの頃の記憶をなくすかのように黒髪になってて垢ぬけしてるって言うか、大人の男って感じ。


「な、なんで…」


あまりにもビックリしてしまって言葉をだすのが遅れてしまった。

だけど、あたしの驚きとは正反対に翔は爽やかに笑ってた。


「良かったー美咲で。声掛けたけど間違ってたらどーしようかと思った。すんげぇ大人っぽくなってんから」

「いや、…じゃなくてさ。どうして居るの?」

「どうして居るのは、俺のセリフ。なんで日本にいんだよ。みずくせーよ、俺にも連絡しろよ」

「いや、翔のマンションに行ってさ、驚かせようとしたの」

「もう十分驚いてるっつーの」


そうため息交じりに呟いた翔はあたしが持っている真っ赤なスーツケースを奪い、足を進めた。

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