永遠の愛
「あ、そういやさ。引越しする時に美咲の服が数枚あったからクローゼットに入ってる」
「まだあったんだ」
「うん。…そっちの左」
翔は玄関に続く廊下を指差す。
その方向に足を進め、言われた通りに左の部屋へと入った。
入口付近にある電気をパチンと点けると、広い部屋にダブルベッドが置かれている。
そのダブルベッドが広い部屋の所為なのか小さく見えた。
閉じてあるクローゼットの扉を開くと、一番端の方に数枚あたしの服があった。
旅立つ前に全部持って帰ったと思われる服がまだあった。
手にとってみると、5年前の記憶が今にも読み返りそうだった。
「懐かし…」
デニムのミニスカートにTシャツ…ジャケット…
なんか、年を重ねるその服に苦笑いをする。
「あった?」
そう言って入ってきた翔に、
「あー…もういいや。捨てちゃっても」
掛けてあるハンガーから外し、あたしは床に数枚落とした。
「え、いらねぇの?」
「だって、こんなのもう着れないや。時代が違う」
「時代がちがうって、なんだそれ」
隣に居た翔はベッドに腰を下ろしクスクス笑う。
「若い服って事だよ」
「まぁな。まだ高校生だったしな」
「うん」
「懐かしいなー…」
そう呟いた翔はゴロンと仰向けに寝転んだ。