永遠の愛
「でも辞めたんだったら関係ないんじゃないの?その、訳分かんない女の事とかもさ、」
「……」
「好きなのに離れる必要ないと思うけど」
「……」
「まぁ、美咲ちゃんの選択が間違ってるとは言いにくいけど。…でも、一方的に離れてもいい事なんて何もないよ?」
「……」
「ほ、ほら。後悔先に立たずって言うじゃん。5年間のお互いの気持ち、そんな簡単に捨てちゃ勿体ないよ」
「…うん。でも決めちゃったから。後で悔やんでもそれがあたしが決めた結果だから」
「…そっか。なら仕方ないか。難しいね、恋愛って…」
「そうだね…」
駅に着いて改札を通り抜けた時、
「また、連絡待ってる」
そう微笑んだ菜緒にコクンと頷く。
「じゃ、また」
「うん。またね」
手を振ってお互いに別のホームへと進む。
予想すらしてなかった菜緒との再会、そしてその内容に少しだけ頭を悩ませる。
「…日本語講師か」
ポツリと呟いた声は白い吐息と混じって消えて行く。
そして電車に乗り込んだあたしは菜緒から貰ったパンフレットをそっと開いた。