永遠の愛
「美咲は…後悔してないの?」
寂しげに口を開く葵の声。
フォークを手にしたまま目の前のケーキを突く葵は視線を上げようとはしない。
「後悔しても仕方ないから」
「だったらあたしは何も言わないけど…」
「うん」
「……」
「あ、あたしさ。もう一度日本を離れようと思う」
「…え?」
勢いよく上がった葵の頭。
驚いてると言うか話しの状況が掴めてないと言った表情であたしを見る。
「この前、留学中で知り合った子に会ってさ、誘われたの」
「誘われたって?」
「向こうでの日本語講師に」
「えっ、ちょっ、ちょっと待ってよ!日本語講師って、オーストラリアでするって事でしょ?」
「うん、そうだよ」
「えっ、ちょっと待ってよ。それ本気で言ってるの、美咲?」
「行こうかなって思ってるところ」
「行こうかなって帰って来たばかりでしょ?なのになんでまた?」
顔を顰める葵は不満そうにあたしに問い詰めた。