永遠の愛
「それよかスーツどうしたの?」
クローゼットを覗いて不思議に思った。
クローゼット一面にあったスーツが数枚しかない。
白いスーツもグレーのスーツも真っ黒のスーツもほとんどない。
白なんて当たり前になくてあるのはグレーのスーツが数枚だけ。
あれほど高級ブランドのスーツがびっしりとあったスーツは今はもうない。
「あー…捨てた」
「えっ、捨てたの?」
「あぁ」
「何で?」
「何でってもう着ねーし、必要ねーし」
「でも勿体ないじゃん」
「勿体なくても置いてても着なかったら邪魔だろ」
「そーだけど…」
あんな高そうなスーツ捨てちゃったの?
思わず唖然とするあたしは寝ている翔を見つめた。
「あー、でも何枚かは後輩にあげて後、諒也にも」
「へー…そうなんだ」
翔が頑張ってた頃のスーツはほとんどなく、今は私服で埋まったクローゼット。
長かったようで短かった5年。周りが何もかも変わってた。
葵と諒ちゃんの環境。
翔の環境。
周りが全て変わってた。