永遠の愛
「え、どれくらい居たんですか?」
「うーん…2年ちょい。大学卒業してからだから」
そう言えば昔、諒ちゃんが言ってた。
田口先輩は頭がいいって。
英語はペラペラだって言ってた。
でも、カナダって英語もだけど…
「田口先輩って、フランス語話せるんですか?」
「多少。だから勉強してきたの」
「へー…やっぱ頭いいんですね」
「つか、“やっぱ”は余計だから」
田口先輩はクスクス笑う。
「あー…いや。って言うか、田口先輩、そこまでして何か目的でも?」
英語はもちろんフランスの勉強。
学生の頃からすると、とんでもないくらいに考えられない。
あんなにチャラチャラしてた先輩が、こんな風になってるのなんて正直驚き過ぎて言葉がでない。
あの当時からそうだったけど、やっぱ見掛けによらずだ。
「まー…目的っつーか、塾の講師?」
「はっ!?塾の講師ですか?」
「そうそう。あれ?美咲ちゃん知らないっけ?俺、海外に住んでたの?」
「それは知ってますけど…」
「で、俺んち親父が英語塾経営してんの」
「はっ!?」
「だからその後継ぎ」
「マジですか?」
「嘘ついてどーすんだよ」
口元に笑みを作る田口先輩は、
「だからフランス語も勉強してきたって事」
続けてそう言った。