永遠の愛
「じゃ、もう帰ります。とにかく先輩は言わないで下さい」
“口軽そうだけど”
そう付け加える様に先輩を見上げる。
「なーんか俺って、相当チャライ男に思われてんね」
「ですね」
「学生の時とは違うから」
「そう、ですか…」
「まぁ、何かあったら言って。俺、並木街3丁目に居っから」
“じゃ、”
そう言って先輩は背を向けて軽く手を上げ足を進めた。
並木街3丁目。
そこが先輩の家なのか、塾なのか分んないけど先輩はそう言って帰ってしまった。
思わぬ所で出くわしてしまった先輩。
あたしが、そうと決めてる事を誰にも言わないといいけど。
唯一知ってるのは葵だけど、葵も葵で分んない。
でも、まぁいずれかは諒ちゃんにも言うつもり。
ただ、今は誰にも知られたくないだけ。