永遠の愛

帰ってから何気に見た携帯の画面に映し出される不在のマーク。

掛って来てた事にも気付いてなかったあたしは、着信履歴を開けた。


そこに現われたのは葵の文字。


だから一瞬、変な汗が流れてしまった。


もしかして日本語講師の事、言った?

さっき田口先輩と出くわした事もあってか、何だか変な胸騒ぎがしてしまった。


その変な気持のまま葵にコールして耳に当てる。


「…あ、美咲?」


すぐに聞こえて来たのは、待ってました。と言わんばかりの葵の声。


「うん。ゴメン、気づいてなかった」

「あー…うん」

「それよりどうしたの?」

「うん、あのね…」


そう聞こえた葵の声が自棄に静かだった。

落ち着いた小さな静かな声。


だから余計に変に焦ってしまった。


「どうしたの?」

「言うべきかどうか迷ったの」

「うん」

「芹沢さん、入院してるらしいよ?」

「うん」

「うんって、美咲知ってんの?」


さっきより打って変わって大きくなった葵の声。

多分、あたしが知らないであろうと思って掛けて来た電話。


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