永遠の愛

夢でも見てるんじゃないかって、一瞬思った。

何でか知んないけど震える手が自分じゃないような気がした。


もう別れてんのに、何でか心が切なかった。


「…翔が、スキなの」


ズキンと揺れた心臓。

微かに聞こえたアカネさんの言葉。


更に翔を求めるかの様にアカネさんは翔に抱きつき、


「…好き」


小さく呟いた。



「…アカネ?」


思わずハッとしてしまった。

翔のその声で、アカネさんの名前を呼ぶ声に。


あたしじゃなくアカネさんの名前を呼ぶ声に。

だからあたしは慌ててこの場所を離れた。


その先の事なんて聞きたくない。

何もかも全て耳には入れたくなかった。



何でこのタイミングなわけ?

何で今なの?


もしもあたしじゃなく付き合ってた相手がアカネさんだったら、リアって人はアカネさんの所に行ってた?

なんだかよく分んない妄想があたしを押し潰す。


正直、あのリアって人の言った事が正しくて別れた選択。

だけど、また新たに違う女が出てこられちゃ、正直どうでも良くなった。


あたしは…


あたしはやっぱり相応しくない。
< 466 / 625 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop