永遠の愛
「…おい、美咲っ!」
聞き覚えのあるその声に、ふと足が止まった。
今から家に入ろうとする真っ暗な夜道に声が張り叫ぶ。
視線を向けるその先には、顔を顰める諒ちゃんが居る。
車から降りて走って来た諒ちゃんは、
「早く開けろって」
鍵を持つあたしを急かした。
「何よ?」
「寒い」
「冬だからね」
「いいから早くしろって」
急かす諒ちゃんにため息を吐き捨てながら家の中へと入る。
そして必ずしも諒ちゃんが向かう先はママの仏壇。
「何か用?」
合わせてた手を離した諒ちゃんに、あたしは椅子に座って問い掛ける。
「何か用って、言わなくても分かんじゃねぇのかよ」
諒ちゃんは眉間に皺を寄せたまま、ポケットからタバコを取り出した。
「さぁ、何だろうね」
「焦らすな、お前。翔さんだよ、翔さん」
また、翔。
だからもういいって。
「翔が何?」
「行けねぇから病院に来いって」
カチッとタバコに火を点けた諒ちゃんは、そのままゆっくりとあたしに視線を送った。