永遠の愛

「…なんで、翔が？」


思うのはただ、それだけだった。

なんで翔が天野さんに？


「あたし見ちゃったんです」


そう言ってくる天野さんは目を泳がし、表情を少し崩す。


「見たって、何を？」

「バイトが終わって学校に来る途中、楓さんと女の人が居る所を…」

「…女？」

「なんか凄く揉めてました。…美咲センセーの事で…」

「…え？」


一瞬、時間が止まったかの様に息さえする事を忘れてしまった。


あたしの、事ってなに？


「内容までも詳しく分らないんですが、楓さんが美咲がどうのこうのって言ってました。女の人はなんだか怒ってると言うか、なんか宜しくない雰囲気をしてましたよ」

「……」


女って、リアって人？

それともアカネって人？


分んない。どっちでも捕らえてしまうから、どっちだか分んない。


「だからあたし、思わず立ち止まってしまって…」

「……」

「暫くの間そんな事してるから、あたし気付かれてしまって。楓さんには言わないでって言われたんですけど、でもやっぱり気になって…」


ソワソワしながら話す天野さんは目をずっと泳がしてた。