永遠の愛
「…あ、…っと、」
不意に聞こえた声と砂利を踏む足音にあたしはゆっくりと視線を向ける。
向けた瞬間、瞬きをするのも忘れそうになった。
…アカネさん。
白と黄色の菊の花を抱えたアカネさんは、あたしを見るなり少しだけ頬を緩める。
「こんにちは」
そう言ってくるアカネさんに、「こんにちは」同じ言葉を返し、場所を譲る様にして立ちあがった。
「あ、ごめんなさい」
「いえ」
スッと移動したあたしに、アカネさんは抱えていた花を墓石の前にたてる。
そして持っていた線香に火を点けて置くと、ゆっくりと両手を合わせた。
リアって人がギャル系ならばアカネさんは要するに大人なお姉さん的な感じ。
おっとり系と言うか柔らかな感じの人。
…でも、この人は翔とキスしてた人。
暫くアカネさんの背後を見つめてたあたしは、軽く息を吐き、お墓を後にしようと思った。
身体をクルっと反対に向けて、足を数歩進めた時、
「あのっ、」
足音に気付いたのか、アカネさんの呼ぶ声が背後から聞こえた。