永遠の愛
「…香恋ちゃん?」
手を引いてる香恋ちゃんのペースが少しづつダウンしていく。
覗き込むように香恋ちゃんを見ると、香恋ちゃんは頬を少し膨らませて目を瞑る。
「おいで」
直感でもう歩くのが嫌だと感じてしまったあたしは、そっと香恋ちゃんを抱える様にして手を伸ばす。
それに答えるかのようにして両手を伸ばしてくる香恋ちゃんを、そっと抱っこした。
そしてすぐにウトウトとし始める香恋ちゃん。
遊び疲れたのかあたしの肩に顔を沈め、眠そうにする。
「あっ、美咲っ!」
そう叫んだ声が聞こえたのは葵のアパートに着いた時。
見上げる先に見えたのは窓から顔を出している葵で、
「帰って来たよ、美咲」
そう後ろを振り向いて声をだす。
だからそこに諒ちゃんがいるのがすぐに分った。
スッと葵の顔が消え、玄関まで辿りつくとドアから出て来たのはやっぱり諒ちゃんだった。
「悪いな」
諒ちゃんは抱えている香恋ちゃんを抱っこすると、すでに眠っている香恋ちゃんが目についた。
「ごめん、美咲!電話したんだよ?」
そう言って後ろから顔を出す葵は申し訳なさそうに顔を顰める。