永遠の愛
「その選択が正しければいいけどね」
ポツリと呟いた葵は小さく息を吐き捨てる。
「だから絶対、翔には言わないで。お願い、葵…」
そう言ったあたしに葵は不満そうだけどゆっくりと頷いた。
「美咲の全ては留学なの?」
葵が視線を向ける先は居間。
ママの仏壇の前に広げられるスーツケースの荷物。
「そうなのかな。…好きだから」
「誰かを好きになる事より?」
「今は…そうかも知れないね」
「あたしより?」
「え?」
荷物から視線をあたしに向けた葵の目は少しだけ潤んでた。
今にも落ちてきそうなその滴の瞳で。
「正直、せっかく会えたのにまた居なくなるなんて寂しい」
それが葵の正直な気持ちだとしても。
「ごめん」
それがあたしの答えなの。
その一瞬に落ちてしまった葵の一滴の涙が、昔見た涙とは全然違う様な物にしか見えなかった。
ごめん、葵。
ただ思うのはその言葉だけ。