永遠の愛

「え、何?もしかして忘れてたの?」

「いや、…別に“おめでと”って言われる年齢でもねぇしな」


そう言って、翔は再び苦笑い気味で声を吐き出す。


「年齢なんて関係ないよ」

「あるっつーの」

「何で?」

「ほら、なんつーの?こんな俺より若い奴に心変わりってもんがあるだろ?」


クスクス笑う翔は情けなくそう口を開く。


「って、何言ってんのか分んない」

「何で分んねぇんだよ。お前もオッサンよりか若い奴の方がいいだろって言ってんの」


ツンと額を突かれた所為であたしの頭がゆらりと動く。

そんな苦笑いする翔に視線を向けて、


「…あたし、若い人よりオッサン好きかも」


呟いた後、顔を翔の胸に埋めてギュっと身体に絡みついた。


「つか、何?嫌味かよ。俺だって若い時はイケてたっつーの」

「うん、知ってる」


…知ってるよ。

全部、全部知ってる。


年をとったからって、嫌いになるもんじゃない。

翔、そのままの存在が好きなの。


いくつになっても、好きでいたい。


…やっぱ、あたし翔じゃなきゃダメだ。

< 576 / 625 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop