永遠の愛
「え、何?もしかして忘れてたの?」
「いや、…別に“おめでと”って言われる年齢でもねぇしな」
そう言って、翔は再び苦笑い気味で声を吐き出す。
「年齢なんて関係ないよ」
「あるっつーの」
「何で?」
「ほら、なんつーの?こんな俺より若い奴に心変わりってもんがあるだろ?」
クスクス笑う翔は情けなくそう口を開く。
「って、何言ってんのか分んない」
「何で分んねぇんだよ。お前もオッサンよりか若い奴の方がいいだろって言ってんの」
ツンと額を突かれた所為であたしの頭がゆらりと動く。
そんな苦笑いする翔に視線を向けて、
「…あたし、若い人よりオッサン好きかも」
呟いた後、顔を翔の胸に埋めてギュっと身体に絡みついた。
「つか、何?嫌味かよ。俺だって若い時はイケてたっつーの」
「うん、知ってる」
…知ってるよ。
全部、全部知ってる。
年をとったからって、嫌いになるもんじゃない。
翔、そのままの存在が好きなの。
いくつになっても、好きでいたい。
…やっぱ、あたし翔じゃなきゃダメだ。