永遠の愛
「もう行くし、美咲は寝てな」
咥えてたタバコを灰皿に揉み消し、そこからじんわりと煙が舞う。
既に翔は身支度を済ませていて、椅子に掛けてある“それ”を手に取って、身に纏った時、思わずその翔の姿に視線が止まった。
「…どした?」
そのあたしの表情があまりにも動かなかったのか、翔は不思議そうにあたしを見つめる。
「あ…、いや…」
「ん?何?」
「スーツ…」
凄い凄い久しぶりに見る翔のスーツ姿。
グレーに近い黒のスーツを着こなした翔は昔と変わらない。
…何でスーツなの?
って、思ったのも束の間だった。
「あぁ、そっか。仕事、変わったから」
そう言われてハッとした。
「あー…、そう言えば葵から聞いてた」
「あぁ、葵ちゃんね」
クッと口角を上げた翔はタバコとライターをポケットに入れる。
玄関先に向かう翔に、
「行ってらっしゃい」
「行ってきます」
そう見送った後、あたしはまた睡魔に襲われて眠ってしまってた。