永遠の愛

勢いよく飛び起きて掛け足で向かった香恋ちゃん。

その方向に視線を送ってると、


「しょーくんっ、」


香恋ちゃんの甲高い声が響いた。


「おー、ビックリしたぁ…」


そう言いながらリビングに来たのは香恋ちゃんを抱っこした翔。

抱っこされた香恋ちゃんは物凄く嬉しそうだった。


「おかえり。早かったね」

「あぁ。つか、どした?何かあった?」


そう言った翔に苦笑いしながらあたしは首を振る。


「ううん。香恋ちゃんが翔に会いたかったんだって」

「へーそうか。香恋、俺の事スキか?」

「うん!!ちゅきー…」


そう言って、翔にベッタリする香恋ちゃん。


「香恋。可愛いなー、お前。俺も香恋の事、好きだよ」


そして昔の営業トークを口にする翔に思わず呆れる。


日本に帰って来た時、確か葵は言っていた。

香恋ちゃんは翔に懐いてるって。

諒ちゃんより懐いてるって、そう言ってた。


それは今でも変わってないみたいで、香恋ちゃんは自棄に翔にベッタリする。

だからそんな翔も受け答えるかのように、頬を寄せあい――…


「あの、」


思わず小さく呟くあたしに、翔はあたしに視線を向ける。


「うん?」

「あたしの事、忘れてない?」


少しだけ顔を顰めるあたしに翔は口角を上げた。

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