永遠の愛

たった数日前。

いや、数週間前に来たばかりの所。


来たばかりと言っても、あたしが勝手に訪れてた場所。


そして翔が迎えに来てくれた場所。

その場所に、今あたし達は居る。



「…どう、したの?」


いつもの場所でエンジンを止めた翔に、あたしはちょっと困惑気味に口を開く。

そう戸惑い気味に聞いたのは、ちょっと感じたあたしの勘だった。


なんとなく違うと悟った翔の表情。


「ちょっと来て」


そう言ってドアを開けた翔は先に車から降りて行く。

さっきまでの明るい表情なんて嘘のようで、思わず首を傾げてしまったあたしは言われるがままに車から降りた。


少しずつ暖かくなっていく風。


まだ少しだけ肌寒いけれど、身を震わせるまではいかない。


潮の香りだって何度も匂っているけれど、こう緊迫した空気の中では初めてなんかじゃないかって、そう思った。

だって、着いたのはいつもと違う場所。


いつも階段なのに、今日は違う。


柵が目の前にあるベンチ。


そのベンチで翔はゆっくりと腰を下ろした。



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