永遠の愛
「つか何?俺ってそんな雰囲気だしてんの?」
「だって、」
「何でさ、また俺の傍に引っ張ってきのにわざわざここに来てそんな話ししなきゃなんねぇんだよ」
「じゃ、何?」
「初めてここに来た時さ、この場所が好きって言ったの覚えてる?」
そう真剣そうに言った翔は、足を組みチラっとだけあたしに視線を向けた。
「うん、覚えてるよ。だからあたしもいつの間にかここが好きになってた」
「…そっか」
柔らかく笑みを見せた翔は、一息吐き何かを考えるかのように目の前に広がる海を見つめた。
潮の香りと波風。
時折、波が打ちつけてその音が耳に届く。
初めて来た時に翔が、誰も居ない夜の波の音を聞くと落ち着くって言ってた。
それがいつしかあたしも思うようになって、この雰囲気が好きになってた。
「それが、…なに?」
恐る恐る口を開けるあたしに、翔は軽く息を吐き出し顔に笑みを作る。
「別に何処でも良かったんだけどな。でも、やっぱここが一番落ち着ける場所っつーか…」
「うん」
「とりあえず、はい」
スッと翔が、あたしの目の前に差し出した物。
長細い真っ黒の箱に白のリボン。
何が何だか分からないその急な出来事に思わず翔に視線を送った。