永遠の愛

「住んでないって何で?引っ越したの?」

「あー…」


語尾を伸ばせながら再び足を進めて行く翔の隣に駆け足で進み覗き込むように翔を見た。


「ねぇ、何で?」

「何でって、家賃高いし」

「高いってそんなの前々から分かってた事じゃん」

「なんつーか、辞めたから」

「辞めた?…何を?」

「何をってホスト」

「へ?」


思わず裏返ってしまった声。

茫然と見つめるあたしに、


「何、その反応。俺が辞める事を望んでたんじゃねーの?」


翔はあっさりと言葉を返してきた。

そうだけど…

そうだけど…


5年前のあたしは辞めてほしくて辞めてほしくてどうしようもなかった。でも、翔が望んでた道だったからあえてあたしは何も言わずにいた。

なのに、どうしてだろう。

辞めたって聞いて凄く喜べなかった。


「いつ、辞めたの?」

「んー…3月」

「そうなんだ。…知らなかった」

「だって言ってねーし」

「ねぇ、今は何してんの?」

「トビ」

「そっか。で、何処に引っ越したの?」

「前のマンションの近く」

「へー…ねぇ、ママは元気にしてた?」


突然、翔は足を止め振り返る。

そして、その顔はあまり宜しくない。
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