永遠の愛
「美咲、甘やかさなくていいよ」
「甘やかすって、こんなの全然じゃん」
「抱っこ癖がつくんだよ」
「いいじゃんついたら抱いてあげたら」
「だから疲れるの。ずっと抱っこ抱っこだもん」
そう言った葵は頬を膨らませた。
「葵って案外、教育ママだったんだね」
ハハッと苦笑いをするあたしに葵は更に頬を膨らませた。
香恋ちゃんを抱っこしたまま数メートル先のアパートまで行く。
壁面が茶色のオシャレチックな洋風のアパートは2階建になってる。
4ヶ所の玄関が並ぶ一番右端の所で葵は足を止めた。
「なんか、凄い綺麗な所だね。2階建でしょ?」
「うん」
「葵がなんか好きそうだよね。こーゆう洋風チックな家」
「そう?」
「そうだよ、昔っから葵の部屋は綺麗だったからね」
「何それ、普通じゃん」
フフっと笑った葵はドアを開けて中に入る。
あたしは抱えていた香恋ちゃんを下ろすと、靴を脱いでリビングに入った。
「やっぱ。綺麗」
葵好みの部屋。
整理整頓とともかく、家族だって言う証の部屋。
「座ってて、美咲」
「あぁ、うん」
ソファーに座ってヌイグルミと遊ぶ香恋ちゃんの隣にあたしは腰を下ろした。