永遠の愛
「でも、美咲がやって来た事、活かせられるじゃん。誰かに伝わればいいじゃん」
「…うん、だといいけど」
葵との話なんて積もり積もってた所為か、驚く間に時間なんて過ぎ、気づけば19時を過ぎていた。
「うわっ、こんな時間。ちょっと美咲、ご飯つくってもいい?」
慌てて立ち上がった葵はキッチンへと向かう。
「いいよ、香恋ちゃんと遊ぶから」
「ゴメンね、美咲も食べていけば?」
「いいよ、仕事終わったら翔が来てくれるってさ」
「え?そうなの?じゃあ一緒に食べる?」
「え、さすがにそれはいいよ」
キッチンで着々と手を進めていく葵を他所に、あたしはまだ飽きることなくあたしのあげた絵本で遊ぶ香恋ちゃんをジッと見つめてた。
家族っていいものなんだって、そう改めて実感させられちゃう。
暫くそんな可愛らしい香恋ちゃんとキャッキャッ笑いながら遊んでいると、ガチャッと聞こえた音に香恋ちゃんが振り向いた。
「…パパ」
そう言った香恋ちゃんは絵本を抱えてドアに近づいた瞬間、ドアが開きそこから諒ちゃんが姿を表せた。
「おー、美咲」
そう言った諒ちゃんはクッと口角を上げる。
「おかえり」
「おぅ」
やっぱ、パパって感じがしない。
抱きかかえる香恋ちゃんの姿。
やっぱ、諒ちゃんのイメージじゃない。