永遠の愛
「あ、そうそう美咲ちゃんの事、噂になってたよ」
思い出したかのように一条くんはそう言ってクッと口角を上げた。
「…噂?」
「そう。すっげぇ美人なセンセーだって言う噂」
「へぇ…」
「だから気をつけな」
「って言うか、あたしは一条くんに気をつけたい」
「ハッキリ言うね」
ちょっと苦笑いをした一条くんは咥えていたタバコを離すと、その隣にある長い筒状の灰皿にタバコを押し潰した。
「女慣れしてそうだから」
「それって見た目?」
「直感」
「その直感、多分外れてる」
「どうだかね」
「やっぱ、美咲ちゃんってセンセーじゃねーじゃん。そんなセンコー初めて」
「喜んでいいのかどうか分かんない」
「お好きな様に」
壁に背を付けて立っている一条くんはどう見ても端正なチャラ男にしか見えない。
細身の破れたジーンズにを腰で穿き、黒のタンクトップ。首元にはネックレス。
そしてアクアブルーの香水の匂い。
ほんと、その風貌…田口先輩にしか見えない。
「あ、あのさ…」
もう一本新しいタバコに火を点けようとする一条くんに声を掛ける。
そんな一条くんはカチャン…とジッポを閉じてあたしに視線を送った。