俺様or激甘彼氏はいかがですか?
憂鬱な気分のまま、放課後になった。
目の端には、鞄に荷物を詰める高杉くんが映る。
…どうせ、さっきの子と帰るんでしょう……。
あたしは一つ、大きな溜め息を零して、自分の鞄を手に取る。
梨華の席に向かい、机の前から声を掛けた。
「…梨華、一緒に帰ろ」
「…え?でも高杉くんは…」
「いいの」
俯いて話すあたしに、梨華は「…そっか」とだけ呟き、鞄を持ち立ち上がった。
教室を出る瞬間、もしかしたら高杉くんが引き止めてくれるかも。
そう思った自分が恥ずかしい。
高杉くんは何ら変わらない様子で、見つめるあたしの視線に気付くことも無く。
後ろのドアから、出て行ってしまった。