彼観察日記
「まぁってよーりっかちゃああん!」

「寄るな変態野郎!!」



また1時間過ぎた頃。
私と駿一は廊下で追いかけっこをしていた。



ことの発端はいかにもシンプル。

私が駿一にただ何気なく微笑んだら、駿一のハートにずっきゅんしちゃったらしく。


この状況。


「待たれよぉお!」

「待てといわれて誰が待つかあああああ!!!」



周りを見れば、みんないつもの光景だから微笑んでるし。助けてくれる人は誰としていない。悲しい。


「絶対つかまらなっ・・・ぅぎゃっ!」


どんっ!

後ろ見ながら走ってたら誰かにぶつかった。


私はその衝撃で尻もちをついてしまった。



「いたた・・・ご、ごめんなさい!大丈夫でしたか!?」


「うん。大丈夫。骨が二、三本折れただけ。」


「えっ!?大変っ!・・・ってお前か光。」



なんとぶつかったのは絶賛片思い中の光じゃないか。
つか骨は折れないだろう。一言余計だ。



「りっかちゃーん。俺のこと忘れないでほしいなー??」


悪寒。圧倒的悪寒感じた今。


後ろを振り向けば、まぁ気持ち悪い笑みをした駿一。


私は威嚇するように睨んで、光の後ろに隠れた。


「なぁ駿一だっけ?梨華子困ってるからやめろよ。」


光は状況を察したのか、超ひっくい声で駿一を睨みつけた。



庇ってくれた・・・?



「・・・むぅ。わかったよ。じゃ、りっかちゃーん。また今度っ」


「消えてくれまじで。」


「わーい快感♪」


もう死に絶えてください。
バイバーイ!と手をふりながら、駿一はさっていった。

できれば二度とあいたくない。



「何があったか知らんけど、大丈夫か?」

「あ、うん。ありがと」



なにげに男らしいときもあるんだ。
家に帰ったら日記に追加しなくちゃっ
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