雨上がり
「えっ…うわっ」
その声に振り向いた時には、
目の前に大きな黒い傘…



今、話しかけられたのは、
もしかしたら、自分じゃないかも
っと、辺りを見回してみる
でも、後ろを見たって前を見たって、
自分とその人以外誰もいない



その状況にオロオロと戸惑っていると、
その人が、



「…持ってきてないなら、貸してやるよ」



「えっ…」




その大きな傘を私に握らせて
このどしゃ降りの中走って
どこかへ去ってしまった



いきなりの出来事に、
お礼も言うことができず、
名前も聞けなかった

ただ、一つ分かったことは、
同じ高校だったこと…
制服が、一緒だったから

顔は、傘に隠れてよく見えなかった





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