一夏のユーフォリア
級友達がたまに家に来て一緒に勉強をしたり夜の散歩に行ったりといろいろ気を遣ってくれている。
家には母親しかいない。父は私の異質な姿を見て私と母を捨てた。逃げ出した。それ以来、母が私を女手一つで育ててきてくれた。私の服も何もかも母が買ってきてくれる。最近ではネットショッピングなんてものがあるから2人で一緒に見たりなんかしたりと親子仲は良好。
「明日は安永君と沢城さんが来てくれるのだったかしら」
毎日恒例の夜の散歩をしながら私はそう呟いた。安永君と沢城さんとは私の数少ない級友。一番私を気に掛けてくれている余計だけれどお似合いカップルだったりする。
「そういえば、もう夏休みなのよね」
お気に入りの川に着いて履いていたサンダルと持っていた鞄を脇に置いて私は躊躇う事なく川に入った。
「じゃあそろそろ誰か来るのかしら」
水と遊んで髪を風に靡かせて私は踊るように川を歩いた。
そんな時、人の気配を感じた。これが雪色少女、東崎優里空の人生で最高の一夏の始まりで出会いだった。