嘘つきヴァンパイア様


***

紅色に輝いていた月がオレンジ色に光を変えた。冥界ではそれは朝を表している。


その頃、涼子はレシィに朝食を用意してもらい、頂いていた。

が、彼女はどこか心ここにあらず。

フォークを手にし、野菜を一口食べるが、すぐにフォークをおき、溜め息をはく。


そして数分後に、フォークを持つが食べずにおいてしまった。


そのような事を繰り返す涼子にレシィは堪えきれず声をかけた。

「お口に合いませんか?」

「え?」

「別のものをご用意いたします」

「あ、いや…大丈夫ですよ!このままで!」


しまった。と、彼女は思い、慌ててフォークをもって口に運ぶ。





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