嘘つきヴァンパイア様


実は、涼子がこのように呆然としているのは、昨夜の事が原因。


呉羽に誘われるままに身体を重ねた。呉羽は涼子をもの凄く優しく抱いた。それは彼女も分かっている。

服を脱がされる過程や、肌に触れる過程。繋がる瞬間。


全てが優しかった。


けれども、涼子は抱かれている最中に感じた疑問をずっと考えている。


それは、『呉羽に抱かれたのは初めてな気がする』そんな、疑問だ。


記憶がなくなる前は沢山していたと呉羽は言う。


それなら、懐かしいと感じてもいいはずなのに、全く涼子は感じなかった。






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