嘘つきヴァンパイア様
「レシィ!早く行こう!」
「そのように急がなくとも、お庭は逃げませぬ」
渋々といったかたちで、レシィは涼子のもとに歩いてむかう。その手には何故か日傘があり、彼女はその傘を見つめレシィに聞いた。
「レシィ?どうして、傘なんて持ってるの?」
太陽があるのなら、日焼け防止のためだとわかる。だが、冥界には太陽ない。意味はあるんだろうか。
「ご説明したはずでし。月は太陽と同じエネルギーを発すると」
いまの月は、黄色。それは日中と言うこと。だから、日中の太陽と同じで、月だが日焼けはしてしまう。そう、レシィは言う。
「ですから、涼子様もお持ちくださいまし。月焼けたなどされたら、レシィが呉羽様にお叱りをうけしまいます」
「あ、はい。どうも、ありがとう」
レシィから受け取り、傘をさす。薄い水色でリボンの柄の可愛らしい傘だ。
えの部分は細く、リボンの柄。
この世界は、可愛らしいものが多いな。そう、思うとレシィは彼女を「では、あちらにご案内さます」と、促した。
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