嘘つきヴァンパイア様
それを見たルカは、少し言いにくそう顔を歪め、呉羽の前に膝まつき視線を落とす。
『いえ、それは大丈夫です。ですから、そのことではなくて…』
『なら、なんだよ。勿体ぶるな』
ゴクンと、ルカが息を飲み込む音が部屋に響きく。緊張からか頬から汗が流れると、意を決したように口を開く。
『実は先程のことです。下界にいる配下の者から連絡が入りました。その…ギルド様が新しい花嫁に目をつけたと』
ルカの言葉に、立っていたユノが呆れたように息をもらす。
『またですか?ギルド様はこれで何人目だと思ってるのですか。神や人間に半神、数え切れないほどの女子に手を出しては捨て、記憶を消してまた新しい女子を花嫁にする。何を考えているのやら」
厳しい口調でそう言うユノにルカは更に言いにくそうに顔をあげる。
『それが、そうではなくて…』
『どうゆう意味だ?』
『今回、目を付けたと言いますか…見つけ出した女性は…カトレア様の生まれ変わりです』
カトレア様、その名前に呉羽とユノは目を大きく開いた。
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