嘘つきヴァンパイア様
邪魔が入ったのは残念だが、嘘をつき始めたころに比べれば、かなりの進歩。
以前はキスをするだけでも恥らっていたのだから。
いろいろな意味で恥らうこともあるが、呉羽にしたら大した問題ではない。
そんな呉羽をみて家来達は大きなため息をはく。そして、呉羽と同じように腕を組む。
「しかし、今のがカトレア様生まれかわりか」
「あぁ」
この屋敷の者は、涼子に嘘をついたこと、カトレアと言う名の者の生まれかわりと知っている。
既成事実が何処かでばれないように、ユノから聞かされていたからだ。
「面影はないな。まったく」
「あたり前だろ。だが、魂はカトレアそのものだ。さっき、カトレアのケイトとの記憶を口にしたからな。まぁ、俺との記憶と勘違いしていたけど」
「それは、事実なのですか?呉羽様」
間を待たず発せられた声。振り向けば、レシィの姿。手には涼子が頼んだ紅茶のセット。
「立ち聞きか?趣味が悪いな。レシィ」
その姿に呉羽はからかうように言う。
・