嘘つきヴァンパイア様


「違いまし。涼子様がお顔を真っ赤にしながら戻って参りましたので、様子を見に来たまでです。それで、呉羽様?先ほどの言葉、本当ですか?」


「あぁ。まだ、序兆に過ぎないがな。これから多分、カトレアの記憶を度々見るだろう。噴水に落ちたのも未来をみる力よりカトレアの記憶が強いからだ」


「なるほど。その記憶すらも利用するってわけか。呉羽、お前相当性格悪いな」


肩に手を回され、嫌がる素振りもなく微笑む。


「性格が良くて王なんてられるか」


「そうだな。だけど、お前は始祖であるカトレア様とケイト様の思い出と絆を利用するんだ。それは、大罪だ。」


冗談めかして放たれた「大罪」と言う言葉に、呉羽の顔が真顔になる。


「なにを言う。今さら罪なんか怖がってられるか。俺はそれ以上に大きい罪を持ってるんだからな。全てが終わったら……償うさ、必ず」


呉羽は放った言葉に、周りには重い空気が流れた。

それは家来達もレシィも感じ取る。たが、誰もその台詞に言葉を返さない。


いや、返せないのだ。そして、そのまま暫し時間が経過した。


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