嘘つきヴァンパイア様


***

書物庫を出て、涼子は真っ直ぐに部屋に戻る。

外を眺めれば黄色い月。最近、太陽がないこの光景もなれた。


来たばかりはつい、「まだ夜か」とつぶやいていた彼女も、今では「お昼か」と思えるようになった。


太陽がないと言うのは、どうも不自然な気がしてならない。


だが、住めば都とはまさにこのことだと、彼女はしみじみ感じる。



レシィが言っていた。「黄色い月は太陽と同じパワーがある」と。涼子が体調を崩さないのも、そのおかげだ。


そのような事を考えながら渡り廊下を歩いていると、曲がり角から、影が近づいてくる。


(あ……誰か、来る)


反射的に立ち止まると、その影が姿を現し、涼子を見て頭を下げる。

「おっと…涼子様ですか」

「あ…ど、どうも」


長い刀を背中に背負う神様。家来たちだ。

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