嘘つきヴァンパイア様


「そのように、照れなくともよいのです。我々は、はやく後継ぎが生まれるのを心より楽しみにしてますので」


「気がはやいですって」


手を振り、照れ隠しをしながら歩き出す。その後を追うように家来も歩く。


「早くないです。呉羽様に使えてから、それを待ち望んでいたんです」

「そうなの?なんで?」


(まぁ、使える王に子供が出来ればただ、単に嬉しいってことなのかな?)


後ろを歩く家来を見ながら涼子が言うと誇らしげに家来は言う。


「何を言いますか!主の子供など、我々にしたら宝物と同じです!呉羽様の分身なんですよ!絶対に、たくましく、強く、美しい子になるでしょう!産まれたからには、精一杯守らさせて頂きます!呉羽様の喜ぶことをするのが、我々の仕事です!」


あまりにもの迫力に、涼子は苦笑い。


「そう、なん、ですか…呉羽のこと、大好きなんですね」


いつの日か、呉羽に対しても涼子は思ったよ
ことがあった。


呉羽は、家来の神様達が好きなのだと。



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